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2018.04.26デニムについて

クラボウこだわりのデニム「セルビッチデニム」って?

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デニムファンには、マストアイテムであるセルビッジデニム。こだわりの1本をお持ちの方も多いのでは?しかし、デニムファンでないと馴染みのない言葉かもしれません。知るともっと楽しい、おしゃれに履けるデニムの世界。今回は、セルビッジデニムについてご紹介します!

そもそもセルビッチデニムってなんだ?

セルビッチデニムとは、布を織る際に「旧式の織機(シャトル織機)」で織り上げられ、デニム生地の端に「耳」と呼ばれる部分とほつれ止めが施されているものを指します。ほつれ止めは赤い線が入っているものが通称RED TAB「赤耳」と呼ばれ、現在も愛好家たちの間で親しまれています。このほつれ止めこそがビンテージデニムの象徴。元々、耳付きジーンズは1870年代のアメリカ生まれ。当時はファッションとしてではなく作業着として履かれていました。生産効率を考えて、生地末端の処理を行わずに済むようにこのような耳付きを使用したことがはじまりでした。

日本でも愛用されるようになったセルビッチジーンズ

その後、日本でもセルビッチジーンズが履かれるようになり、「赤耳」のセルビッチジーンズだったリーバイス501は若者に定着。リーバイスの501といえば、「赤耳」といわれるほどになりました。さかのぼること1970年代初頭。大量生産化できる技術を獲得したにもかかわらず、クラボウはあえて生産性の悪いデニムの開発に着手しました。そして1980年代初頭、度重なる試作をしてきた赤耳デニム「A8766」が国内で初めてリーバイスジャパンに認められたのです!こうしてアメリカから輸入され501を基にしたレプリカが、日本国内を通して生地から生産されるようになりました。日本のセルビッチジーンズが「復刻版」「レプリカ」「フェイクビンテージ」と呼ばれるようになった理由は元をたどるとここにあったんですね。ちなみに、このデニムを使ったジーンズは当時月産50反(約1,000本)程度とかなり少量で貴重なものでした。

セルビッチデニムを作る現場を覗いてみよう

ところで、最初にも書いた「旧式の織機(シャトル織機)」はどんなものなのでしょう?
現在ほとんどの生地は、高速で布を織ることのできる「革新織機(エアージェット織機)」という織機で織られています。
ここで一度、現場を覗いてみましょう。まずこちらはエアージェット織機。


続いてシャトル織機。


―――――さて2つの違い、わかりましたか?
 
生地を織る機械の巾が全く違うんです!
デニムを織る速度もエアージェット織機と比べると約5分の1、ジーンズ1本分のセルビッチデニムを織り上げる頃には5本のジーンズが誕生していることになります。圧倒的な違いを感じますね。

それもそのはず。シャトル織機はとっても繊細。エアージェット織機は空気圧で織るのに対し、シャトル織機はシャットルと呼ばれる物体を縦糸の間にくぐらせながら織ります。

そして、こちらがそのシャットル。

 


これが何度も縦糸の間を往復しています。
さらに、エアージェット織機はある程度機械が自動設定を行っているのに対し、シャトル織機は職人が「ガチャンガチャン」と唸りを上げる織機の微細な音やその日時期、機械1台ごとの性格によって設定を細かく変えているのです。ビンテージデニムはこうした熟練した職人の経験によって、作られているんですね。